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人間は執着心を捨てられない 心淋し川/西條 奈加 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]

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あらすじ


不美人な妾ばかりを囲う六兵衛。その一人、先行きに不安を覚えていたりきは、六兵衛が持ち込んだ張形に、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして…(「閨仏」)。飯屋を営む与吾蔵は、根津権現で小さな女の子の唄を耳にする。それは、かつて手酷く捨てた女が口にしていた珍しい唄だった。もしや己の子ではと声をかけるが―(「はじめましょ」)他、全六編。生きる喜びと哀しみが織りなす、渾身の時代小説。




直木賞受賞作ということで読みたくなりました。

図書館で借りましたがさすが予約数がすごい。
待っているだけでも時間がかかりました。

いつか私も・・・


私は特に4つ目の冬虫夏草が気になりました。

薬問屋に嫁入りしのちに娘が姑や産んだ息子、息子嫁に振り回される話です。
言い方を悪くすれば息子に執着し続けそれを幸せだと思っている母親が主人公です。

私もいずれは母親になる(かもしれない)からかもしれません。

だから余計に
「子どもと口にする親ほど、存外、子供のことなぞ考えていないのかもしれんな」
という言葉が印象的でした。

母は息子を一個人とは考えていませんでした。
母親として関わりたい時に姑に邪魔されたことで執着していたからです。

仏教では「三毒」という言葉があります。
貪欲、瞋恚(しんに)、愚痴というのだそうです。

母は思い通りにしたいという思い、けれども何も思い通りにならない息子や周囲に「ただ」怒り、行動を起こさず愚痴る。

そしてようやく思い通りになった大の息子を手放さない。
まさに息子の心を理解せず自己的な行動ばかりです。

今の時代でもありそうですよね。
姑問題や頼りにならない夫、今を楽しむばかりの子供・・・。

その場によどみ続ける川とは言いえて妙です。

執着


考えてみたらどの話も執着心も関わっている気がします。
しかも今も通じる普遍的なものです。

人間は前にも後ろにも行くものではない執着心のある存在なのかもしれません。

執着にとらわれて100%心に占められてしまうことなく、それはそれこれはこれと別の箱にしまう。
そうすることで少しは動けるようになるのかな?


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