アイスクリームフィーバー ひと夏の夕立のような恋でした [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
アイスクリームフィーバーという映画を見ました。
ミーガンを見に行ったときにたまたま予告編を見てなんとなく気になって。
■あらすじ
美大を卒業した菜摘はデザイン会社に就職するがうまくいかず、アイスクリーム屋でバイト長をしている。
デザイン業界へ戻るか悩む菜摘は、店を訪れた作家の佐保に運命的なものを感じる。
その頃、近所の高嶋優のもとに疎遠だった姪が父親を捜しに転がりこみ……
なんだか全体的にエモいなあと思いました。
絵的にも。
佐保の「文章は黒だけれど赤と書けば赤になる。それがいい」(うろ覚え)っていうのが印象的で好きです。
確かにな、って思いました。
文章ってシンプルで何もないけれどそれ以上に何者にでもなれる。
本ってどこにでも行ける。
そこが好きなのかも。
帰りには勢いで原作本も買っちゃいました。
イヤミスとは違うまとわりつく不快な霧 絞め殺しの樹/河崎秋子 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
■あらすじ
北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。
昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、ボロ雑巾のようにこき使われた。
しかし、吉岡家出入りの薬売りに見込まれて、札幌の薬問屋で奉公することに。
戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。
幸せとは言えない結婚生活、そして長女の幼すぎる死。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。
養子に出された息子の雄介は、ミサエの人生の道のりを辿ろうとする。
数々の文学賞に輝いた俊英が圧倒的筆力で贈る、北の女の一代記。
■リアルな田舎特有な不快さ
あまり田舎とかいうと区別しているみたいで嫌なのですが。
大阪という比較的都会に住んでいると偏見が生まれるんですよね。
いわゆる村八分のようなあからさまな悪口と疎外です。
でもこの本で出てくる地域はほんのりした不快感なんです。
あきらかにヤバイ家にヤバイ人がいて虐げられている人がいるのに助けないし止めない。
止めようとしてもすぐ引っ込む。
違う空気感や人間関係があるからこそ止めてくれるのかな、って思っていたのに。
昭和や戦中戦後という「家族」が強い時代だからこそなのかもしれませんが。
漂う不快な霧は雄介すら捕り殺す毒のようなものに思えるなぁ・・・。
■「さようなら」の語源
登場人物のひとりが「さようなら」の元を語っていました。
「さようならば」の変化した言葉です。
あなたのご希望通りにといったところでしょうか。
ミサエと同じように私もその言葉で肩が軽くなった気がしました。
それほど人と人の関係は永遠ではないということです。
永遠ではないからこそ執着する必要もない。
いい言葉です。
人はいかにして戦い仏を信じるのかー黒牢城/米澤穂信 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
■あらすじ
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。
織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。
動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。
「古典部シリーズ」で有名な米澤穂信さんの本です。
氷菓のイメージだったので「時代物・・・?」と最初は疑問でした。
中はミステリーで謎に安心しました。
クローズドサークルというのかな?
籠城戦なので外から人はなかなか入れない状況の中で謎が起きます。
加えて黒田官兵衛が安楽椅子役。
しかも口がうまいから荒木が動かされています。
私も騙されました。
そして戦国の世でなぜ人は仏教に祈り頼るのか。
心情が描かれています。
「家康どうする」の正信の言葉に通じるものがあった気がします。
「民を楽にしてやれるのならば誰も仏に頼らずに済む。そのために民はお前(家康)に米をたらふく食わせているのだ」
それを考えると信心深くない(むしろ宗教を疑っている)私は幸せなんだろうな・・・。
最期の母親の言葉に救われたのでは?/ギフテッド :鈴木涼美 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
あらすじ
歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。
母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。
濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った二人の女友達のことだった――
ギフテッドとは
意味を調べたら「平均より著しく高い知的能力を指す用語。」とでました。
才能を持ってる子、ってことかな?
今回の主人公の才能は「男好きのする肢体」。
母子共にそれがあったから夜の世界で積極的に体を売らなくてもお金に困らなかった。
でもその才能に「私」は特に何も思ってなさそうなんですよ。
「厄介なもんもらったな」とか「得したぞ!」とか・・・。
贈り物をもらったからって青天井に喜ぶ人ばっかりじゃないってことなのかそれ自体に気づいていないのか。
愛されたかった
淡々としている主人公ですが母親に愛されたかったんだろうな、って思いました。
病床に伏している母親に向けて言った「私のことそんなに嫌じゃなかったでしょう?」に詰まっています。
本当は「好きでしょう?」って聞きたかったのかもしれません。
俺ではない炎上/浅倉 秋成 -選択するということは誰かとぶつかるということ- [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
■あらすじ
ある日突然、「女子大生殺害犯」とされた男。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。
まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。
会社も、友人も、家族でさえも。
ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。
必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。
だまれた!!!
ブックマちゃんで知って読んでみました。
中盤までは普通に逃走劇かな?って思ってました。
でも後半になっていくとめっちゃ混乱。
私の中に出来上がった人物像が崩されました。
主に夏実に騙されましたよ~~~。
おのれ、小学生ちゃうんかいぃ!
でも確かに「小学生なう」とは言ってなかったわ・・・と思いなおしました。
正しさとは
正しさとは?正義とは?と思いました。
自分の正義は他人とって正義でもなければ常識でもないんだな、って思いました。
私はそういうことを考えず振りかざして殴りつけて押し付けるタイプなので心が痛い・・・。
本来は他人とのコミュニケショーンの中で折り合いをつけるものなんでしょうね。
コミュ力苦手だからこそ面倒がってしまう性根を呪うぜ。
他人には背景や事情があることを思い浮かべましょう(自戒)
意識しないことは果たしてラクなんだろうか?ー「同志少女よ、敵を撃て」 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
■あらすじ
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。
急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。
自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。
「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。
母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。
同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。
おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵""とは?
■本人の言葉とは?
「新聞に載る言葉は自分のものではなく、常に、自分の言葉を聞いた新聞記者のものだ」
この言葉が印象的でした。
何かの触媒を通せばそれの主義主張がかならず入る。
右翼思想か左翼思想か・・・必ずその思想によっても行間を切り貼りされる。
日本では個人間でもそういう話をしないから意識しませんが当然ですよね。
そこで気づきました。
戦争でなくてもそうかもしれませんが「意識しない」ということは危険なことなんだ、と。
私たちは普段、芸能人を含めた「公人」の言葉の多くをテレビや新聞で受け取っています。
そしてそれを本人の言葉だと無意識に考えています。
ということはフィーマが言っていたことがそのまま言えます。
新聞記者が許容できる言葉のみが載る。
できないことは編集されるか誇張されるか消される。
少なくとも原文ママはありえない。
それでは私たちは真意がわかりません。
1つの記者や情報源をそのまま鵜呑みにしてしまうのは危ないですね。
大げさに言うと戦争当時の「大本営発表」をそのまま信じてしまう・・・。
確認もせずなんの意見も持たないまま。
私も何にも考えずに信じちゃってるなぁ。
多角的に確認して今ある文明の利器であるSNSに自分の意見を言えるようになりたいな、って思います。
前科はつかなくても人生は壊せる@花束は毒 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
あらすじ
罠、また罠。100%騙される、戦慄ミステリー!
「結婚をやめろ」との手紙に怯える元医学生の真壁。
彼には、脅迫者を追及できない理由があった。
そんな真壁を助けたい木瀬は、探偵に調査を依頼する。
探偵・北見理花と木瀬の出会いは中学時代。
彼女は探偵見習いを自称して生徒たちの依頼を請け負う少女だった。
ーーあの時、彼女がもたらした「解決」は今も僕の心に棘を残している。
大人になった今度こそ、僕は違う結果を出せるだろうか……。
背筋が寒くなる真相に、ラストに残る深い問いかけに、読者からの悲鳴と称賛続出の傑作ミステリー。
狂信的
私は最初、被害者の近親者か同級生を疑いました。
特に医大時代に異様に彼を侮蔑的な表現をしていた友人がいました。
「いいヤツだと信じていたけれどああいう事件を起こして未だに嫌がらせされていたのなら自業自得だ」と。
まさにミスリードでした。
ほんタメのあかりんが言っていた通り、この展開は予想できませんでした。
まさに思い込みしていました。
探偵の早見先輩が言っていた通り、思い込みで動いてはいけませんでした。
父親ェ・・・
一番許せないのは父親でした。
身近な人があんなことをしていたら怖いのはわかります。
確かに「前科」はつきませんでした。
けれど被害者が生まれちゃってるしもう人生が壊されちゃってる。
あの時、父親が何とか説得してせめて被害届を取り下げさせていれば・・・。
虚無感に似た焦りがこわい/ブラックボックス@砂川文次 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
あらすじ
ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。
自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。
昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。
気鋭の実力派作家、新境地の傑作。
何を目指していくべきかもわからない
ただでさえ先が見えない中のコロナ禍。
流動的な仕事でさえ減っていく焦り。
「ちゃんとしなきゃいけない」プレッシャーからの焦り。
でも「ちゃんと」って具体的に何?
わからないゆえの焦り。
けれど誰にも聞けないプライドの高さだけはある男の話です。
その焦りを勉強や就活に向かえればいいのですがそんなやる気もないサクマ。
手が出ちゃう暴力衝動を持っています。
私も正体がわからない「焦り」をNOWで感じているのでわかります。
その焦りを悟らせたくないかっこつけたい。そんな謎のプライドも。
高度成長期のように「ただ稼げばいい」みたいなのもないですしね。
自分のなかを見つめるしかない
結局、「答えっぽい何か」は自分のなかにしかないのかもしれない。
暴力沙汰を起こし刑務所に行くことになったサクマは気づきます。
内面を嫌がおうでも見つめ続けるしかない刑務所で自分の得意を見つけます。
自分とは付き合わざるおえないのだからケツ持ちは自身しかできない。
そのケツ持ちの方法は「お金を稼げる何か」ではなく「時間を忘れられる何か」でいいのかもしれません。
それにしても刑務所の描写、やけに詳しいですよね。
作者、経験したか刑務官として働いてる・・・?
行動することは一つだけではない/三十の反撃@ソンウォンピョン [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
あらすじ
非正規社員の三十歳、キム・ジヘ。
平凡な彼女は、世の中にも会社にも期待することを諦めていた。
だが、一癖ある同僚との出会いをきっかけに、社会に小さな反撃を始めるようになったジヘは、次第に自らを見つめ直し、自分らしい生き方を模索するように――。
行動にも種類がある
ジヘたちのいたずらは稚拙で衝撃的なものではありません。
その行動は一見世の中を変える一歩のようでいて本当に「いたずら」の域を超えません。
それでも若い人にとっては「世の中のための行動」のように思えるんですよね。
そしてそういう事をしない人は弱虫。
何となくわかります。
でも30にもなると熱い思いだけでは生きていけなくなる。
あまりにもしがらみや他人に思いをはせる理由が多くなりすぎる。
かといって行動することはできる。
自分の思うこと願うこと、よりよい方向に行動する。
そしてより良い方向に向かって行ってくれそうな人に期待する。
それもしっかり行動していることになるのかな・・・。
このカップル、かわいすぎーーー!?/オールドファッションカップケーキ [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
あらすじ
寝て、起きて、仕事をする──それだけの毎日、それだけを好きで選んでいる自分に最近少し憂鬱な39歳・野末。
ちょっと無愛想だけど信頼厚い部下29歳・外川は、そんな野末が気になる。ひょんなことから、女子で賑わうパンケーキのお店に2人で行くことに。
ここから、外川による野末のためのアンチエイジング大作戦が始まった。
休日まで野末のために時間を割く外川に「なぜ?」が募っていく野末だが…!?
静かな時間で読みたくなる
全体的な雰囲気が「静かな雨」って感じ。
緩急は全然なくってシトシト系の雨です。
読書メーターで「小説みたい」って書いてあって本当にその通りです。
人間関係って意外と激しく動かない場合もあるからリアルでした。
萌えポイント
合コンでモテる野末に嫉妬しすぎて悪酔いする外川がめっちゃ可愛かったです。
そういうのわかっているから余計にくだまいてるのもいいなーww
不器用系わんこ好きです♪
そんでどんなアタックにも初恋みたいな反応する40男、野末も好き♡