テスカポリトカの意志をバルミロは考えたことあるのか?/テスカポリトカ・佐藤究 [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
あらすじ
川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。
海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。
人間は暴力から逃れられるのか。 心臓密売人の恐怖がやってくる。
底なしの深淵
「待つことができない超富裕層」は事実いるだろうからありえそうな密売だな、と思えました。
正当な入手ルートではないからこそ「清らかな」心臓を求めるんでしょうね。
そして正当ではない組織が平然と歩いているメキシコに日本が巻き込まれていないなんて言いきれない・・・。
私自身は幸か不幸か関わっていないけれど知らないところでこういう深淵はリアルにありそう。
そういう思いが段々湧き上がってきてゾゾゾッとしました。
神はなにかを求めているのだろうか?
アステカ神話にでてくる神々は何かを求めているのでしょうか?心臓や生贄を本当に求めているのでしょうか?
征服者(コンキスタドール)が敬っている神は「憐み」を求めています。
人の悲しみや痛みに寄り添う心です。
それを言葉にしています。
でもテスカポリトカは今に残る形で表明しているでしょうか?(私が知らないだけかも)
心臓をささげることはあくまで人間側のエゴでしかなくて神様をうやまっていないのではないか?
そう思ってしまう内容でした。
伝道者
ナイフを作る職人のパウロが好きです。
唯一、表寄りの心情がある気がしました。
そしてコシモを最も「憐れんだ」人でもあると思います。
憐れんだからなのか家族に近い関係だったかもしれません。
ちなみにキリスト教のパウロは異邦人への伝道を「キリストの福音」と表明して伝道していることを記しているそうです。
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