杖よ、星すら見えない廃墟で踊れ -居場所は自分の殻のそとにある- [読んだ漫画/本/雑誌の感想]
あらすじ
王位継承権を持つ三人のきょうだいによる『共同統治』が敷かれるイルバス。
末王子サミュエルが治める西部地域は貧しく、貧乏伯爵令嬢のエスメ・アシュレイルは食糧難を解決すべく、日々手を土に汚し畑仕事にいそしんでいた。
丹精込めて育てた芋が盗まれたのをきっかけに、領地の窮状を王子に訴えようと決意したエスメ。
頼りない双子の兄に代わり男装して王宮に出仕するが、当のサミュエルにまつわる噂は気難し屋だワガママだと、あまり芳しいものではなく……?
ふたつの星が巡り逢うとき、王国に新たな風がもたらされる!
三兄弟の末っ子で、病弱な王子が主人公です。
そのうえ王位継承権があるとはいえまだ未成年。
母親には全く期待されず逆にはばまれる。
兄弟にもそれほど頼られず半人前。
なにかを成し遂げようとしてもろくな部下がいない。
どうにもならない状況に悩んでいます。
自分が「どうにもならない。自分は状況を打破できない存在だ」と思い込む。
そうなると無気力ですべてをあきらめちゃう。
わかるなあ。
思い込んじゃうと無気力になって自分の殻に閉じこもる。
自分の世界ってラクなんです。
相手を傷つけることも傷つけられることもない世界です。
しかしエスメはそういうタイプではありません。
自分を含めたまわりの人たちが飢えることのない世界のために行動します。
そのためなら自分を傷つけられてもかまわない。
本当だったら王位を持っているサミュエルが誇りを持って行うべきこと。
ノブレスオブリージュです。
怖がるだけじゃない。
世界を広げることで何もできない自分から離れて居場所をつかめる。
ツンデレのまま前向きになったサミュエルがかわいく思えました。
コメント 0